池原真佐子さん

インタビュー&構成:徳橋功
ご意見・ご感想は itokuhashi@myeyestokyo.com までお願いします。

 

Masako Ikehara
MANABICIA 代表

11910979_10153465788787357_1606171874_n

 

 

楽しい仕事を、もっと楽しくしたい。だから海外“通学”したんです。

 

 

 

10月になりました。早いもので、1年の4分の3が過ぎていきました。もしかしたら、今から来年の計画を立てている方々もいらっしゃるかもしれません。

中には「新しいことへの挑戦」を目標に掲げる方もいらっしゃるでしょう。就職・転職をする、資格取得を目指す、昇進試験を受ける、起業する、留学する・・・やりたいことが無数に頭の中を駆け巡ると思います。

その中で「来年こそは留学!」と考える方も、きっといると思います。
でも一方で社会人の方々なら「会社を辞めて留学するのは勇気がいる」「でも留学という理由で休職させてくれるだろうか?」というマイナス面も、きっと皆さんの脳裏をかすめるはず・・・

そこで今回は、

・会社を辞めずに
・東京から“通学”

という方法で、欧州発祥の世界的なビジネススクールで学び、見事に修了したという女性を紹介します。人材開発分野で活躍する”MANABICIA“代表の池原真佐子さんです。

池原さんはこれまで教育分野やPR分野、国際交流分野、人材育成分野で活躍し、昨年起業しました。そんな池原さんが海外“通学”を目指したのは、起業する前の会社員時代。そして従来と変わらず仕事をしながら、ビジネススクールのシンガポール校に通い、その在籍中に起業をし、2015年9月末に修了しました。

普通では考えられない方法で海外で学んだ池原さん。実際にどのくらいの頻度で“通学”したのか、入学後はどのくらい勉強したのか、どうやって勉強時間を割いたのか、そもそもなぜ海外のスクールで学ぼうとしたのかをお聞きしました。

*インタビュー@六本木
写真提供:池原真佐子さん

 

シンプルに考え即行動

私は先日、東京から“通学”していたビジネススクール「INSEAD(インシアード)」の”Executive Master in Consulting & Coaching For Change”(変化のためのコンサルティングとコーチング)というコースを修了しました。INSEADは欧州ビジネススクールの名門で、MBAランキングではハーバードについで世界2位という実績を誇ります。私が通っていたのは、シンガポールにあるINSEADのアジアキャンパスでした。

9月末に東京からシンガポールでの卒業式に赴いたのですが、羽田空港で飛行機を待つ間ラウンジでお茶をしていた私は「ああ、もうあんな辛いことをする必要がないんだな」と、感慨深い気持ちになりました。

それと同時に、様々な辛い思い出も脳裏に蘇りました。 当時は出発までの待ち時間にお茶する余裕など全くなく、搭乗直前まで勉強していました。それでも課題が終わらず、シンガポールまでの7時間のフライト中も必死に文献を読んだことを覚えています。

私の立場は“パートタイム修士”というものでした。基本的には1年半で8回の講義があり、それ以外にも、実際に各国の企業に赴いて1人の社員に同行し、組織の空気や雰囲気、社員間でのコミュニケーションの様子などを観察する、といった“実習”が2回、さらに生徒同士で自発的にワークショップを何度か開くことがあったため、最終的には割と頻繁にシンガポールに行き、それぞれ1週間近くシンガポールに滞在していました。また、1年半かけて講義が修了した後は、半年で修了論文(以下“修論”)を仕上げました。

“通学”していた間のこの2年間は、仕事と学びに集中していました。会社での仕事、起業、その他のプロジェクト、そして勉強で過ぎていった2年間でした。結婚して家族もいますが、両立にも工夫してきました。

もしかしたら、事前にこのような大変さを知っていたら、私は入学を躊躇していたかもしれません。でも私はもともと「なんとかなるか」という楽天的なところもあって。自分の、そして実現したい社会のイメージを定め、それに対して必要なことを考え、ただ、やる。とてもシンプルに考えるから、行動するのは早いんです。

12048608_10153574323517357_861403524_n (1)
INSEADでの講義の様子

 

仕事をもっと楽しく – だから選んだ海外“通学”

Consulting & Coaching For Changeというコースでは、分かりやすく言うと「臨床組織心理学」を用いて「人の心やマインド面からアプローチする変革手法」を学びました。人材育成や教育を通じて世の中にポジティブな変化を起こしたいと思っていた私にとっては、非常に魅力的なコースでした。

もともと私の中に“退職や休職して留学”という選択肢はありませんでした。私は、学ぶことと同時に、働くということがとても好きだったので「学んだことを仕事で活かしていく」というやり方を選びたいと思っていました。だから海外“通学”に思い至ったんです。

会社員時代にアジア圏での仕事に携わっていたこともあり、シンガポールなどアジアの成長には非常に興味がありました。また、シンガポールは東京から比較的近いですよね。だから“通学”もきっとできるはずだと思い、シンガポールだけではなく香港の大学も含め10校ほどリサーチし、最終的にINSEADにたどり着きました。偶然目にしたINSEADの在学生の方のインタビューに「ここでは生徒に“良質の失敗”をさせる」と書いてあったこともあり、もともとINSEADには良い印象を持っていました。また選考も、学力だけではなく人間性も重視すると聞き、更に魅力を感じました。

また、アジアの中で最先端のナレッジ(知識)を集約しようとしているシンガポールという国自体にもとても魅力を感じていました。色々とリサーチした結果「もう行くしかない!」と思いました。

Consulting & Coaching For Changeの選考過程は非常にユニークでした。様々な立場の方々からの長時間に渡る面接を3回受けましたし、その面接では私の生い立ちや、祖父母の代からの家族同士のコミュニケーション方法、意思決定の方法、そしてビジョンに至るまで、本当に深く「あなたは何者なのか」を問われました。面接官に心理学の権威の先生までいらっしゃったのもあり、とても緊張したのを覚えています(笑)

 

新しい世界に出会う喜び

働きながら海外の大学院で学ぶというのは、想像していたより遥かに厳しく、並大抵のことではありませんでした。まして私は“通学”期間中に起業をし、その立ち上げ時は、企業で働いていた時よりも忙しい日々でした。

実際にシンガポールにいる時以外、日本にいる時も、私は毎日、仕事以外は全て勉強に費やしていた気がします。会社での仕事が終わったあと、家に帰ってきてから勉強。朝も早めに家を出て、会社近くのカフェで勉強していました。土日も夜中まで図書館に篭っていました。

でも、楽しかった。誰かと買い物に行っても、行った先の近くのカフェで待ち時間に勉強したりするほど、隙間時間を全て勉強に捧げていたのは確かです。夕飯を作りながら論文を読んだり(笑)。だけど文献を読めば読むほど、新しい世界に出会えるから、本当はワクワクしていたんです。私が学びたいことを学んでいるわけですし、学んだことをすぐに仕事で活かすこともできる。だから大変さよりも喜びの方が大きかったですね。学んで終わり、ではなく、それをどう実社会で活かし貢献していくか。学びと実践のサイクルを日常で回しながら進んでいたので「お勉強だけしている」という気はあまりしませんでした。

 

最高のお礼は“最後までやり抜くこと”そして“社会に還元すること”

修論は、修了の半年前から書き始めました。テーマは大きく「日本の女性の社会的プレッシャー」でした。

確かに日本が女性の活躍を推進するのは非常に重要なテーマですし、働きながらキャリアを昇って行く女性をもっと増やしていきたいと思っていました。しかし同時に「女性は結婚・子供・キャリアの全てを手にいれなければいけないの?」という息苦しさもある一面で感じていました。「その息苦しさは何なのか?」についてもっと深く知りたく思い、それを修論のテーマにしたんです。

通学同様・・・いや、それ以上に修論執筆は苦しかったです。日本の大学院で修論を書いたことはありましたが、今回は、それ以上の苦しみでした。何度も「もう諦めよう」と思いましたが、何とか提出することができました。

私は決して学位にこだわっていたわけではありませんでした。しかし一度始めたことは、最後まできちんとやり抜きたい。それは自分への約束でもあったし、私を応援してくださった方々への最高のお礼でもあります。家族、友人など、たくさんの人が様々な場面で支えてくれたからこそ通学できたので、行動でもって感謝の気持ちを表したかった。だから最後までやり抜けたのだと思います。

 

全ては「誰かの役に立ちたい」から

私は自分のことを“フィルター”だと思っています。向こうで降っている雨を集めて濾過して、私の周りにいる人に届けたい。

学びについても、自分の好奇心を満たすためだけに学んでいるのではありません。いつも私は「学んだことに、どのようにプラスアルファの価値を乗せ、社会に還元していけるか」を考え続けています。
自分が得た知識や経験で誰かの役に立つとか、周りの環境が良くなるとか、働きやすい職場になるとか、誰かの気持ちが楽になるとか・・・社会をもっと良くして、一人でも多くの人の笑顔を作るために、学びなら動き、動きながら学んでいる – そんな感覚で、私は毎日を生きています。

12067780_10153574323527357_2082187362_n (1)

 

MET People – session #15

「無理!」をあきらめない

〜日本にいても飛び出せる 働きながら海外通学〜

10月4日(日)16時半〜@UNITY567(六本木)

今回ご紹介した池原真佐子さんの海外“通学”の極意を、実際に皆様におすそわけさせていただくべく、イベントを実施いたします。この記事に掲載していることをもっと深く聞けるのはもちろん、入学に必要な英語力、必要な学費、そして女性が海外“通学”する際に気を付けなければいけないことなど、この記事で語られていないことも直接お聞きいただけるイベントを、来る10月4日(日)に開催します!
【日時】10月4日(日)16時半〜19時(開場16時)
【会場】Unity567(東京都港区六本木7-21-17 東豊エステート601号室)
*道順は http://unity567.com/?page_id=2 をご参考ください。
【定員】定員:30名
【参加費】2000円(学割は検討いたします)

 

当日の流れ

① 16時 受付開始
② 16時半〜16時35分 MET紹介(5分)
③ 16時35分〜17時35分 トークセッション
④ 17時35分〜18時 Q&A
⑤ 18時〜19時 別室にて懇親会

 

詳細 & お申し込みはこちらにて(※リンク切れ)
*このページからでもお申し込みを受け付けます。参加をご希望される方は下記フォーム(「コメントを残す」)からお申し込みいただけます。お名前とメッセージをお残しいただき、「コメントを送信」をクリックしていただければ幸いです。

 

関連リンク

MANABICIA:http://www.manabicia.com/
池原真佐子さんインタビュー(Huffington Post):こちら
池原真佐子さんブログ(Huffington Post):こちら

 

My Eyes Tokyo

Interviews with international people featured on our radio show on ChuoFM 84.0 & website. Useful information for everyday life in Tokyo. 外国人にとって役立つ情報の提供&外国人とのインタビュー

コメントを残す