My Eyes 米大統領選2016 ② 共和党討論会スタート!
ダニエル・ペンソ
コラムニスト/翻訳家
皆さんこんにちは!日本は今、熱気と湿気に喘いでいると思いますが、ここアメリカは大統領選予備選挙の凄まじい熱気に満ちています。民主党と共和党、2016年の大統領選でそれぞれの代表となるのは、一体誰なのでしょうか?
この国が国内外で直面している様々な問題について「オバマ大統領はそれらの解決に貢献していない」と考える共和党候補者が、8月6日に初めての討論会を開催しました。討論会は大統領選本選までに11回行われる予定で、今回がその第1回目です。
ロサンゼルスタイムスによると、テレビで放送されたこの討論会は、何と2400万人の人々が視聴したそうです。
一方民主党側ですが、6回の討論会が予定されています。ひょっとすると現副大統領のジョー・バイデン氏が大統領選に出馬するのではないか、との噂もささやかれています。
ジョー・バイデン氏 *Photo from Wikipedia
同じく民主党からの有力候補であるヒラリー・クリントン氏が、国務長官在任中に個人のメールアカウントを使っていたことに対する議論が沸き起こる中、バイデン氏のこの動きはクリントン氏の支持率を左右するものと思われます。ちなみにクリントン氏の支持率は、同党候補者のバーニー・サンダース氏の2倍に達しますが、ニューハンプシャー州に限ってはわずか6ポイントしかリードしていません。
話を共和党討論会に戻しましょう。この中で大きな議論になったのは、中絶奨励の立場とされるPlanned Parenthood Federation of America (PPFA, 米国家族計画連盟)、通称”Planned Parenthood” (PP) に関するビデオでした。胎児の臓器や組織(fetal tissue)が公開市場で取引される様子がPP幹部の口から語られた映像は、人々の間に強い拒絶反応を引き起こし、PPへの敵意をかき立てました。共和党の全ての候補者がPPに嫌悪と反対の意を示し、中絶反対の立場を表明しました。
そして外交問題。これは日本の人たちにとっても最も気にかかるところでしょう。その思いは共和党候補者の急先鋒であるドナルド・トランプ氏も同じで、トランプ氏はワシントンの政治家たちを「奴らは中国や日本との取引協定で勝てなかった。メキシコからの不法移民の流れを止められなかった」とこき下ろしました。またトランプ氏は「日本はアメリカに何百万台も車を輸出した。その一方で東京では1台のシボレーも見ることはできない」と言いました。
ドナルド・トランプ氏 *Photo from Wikipedia
しかしアメリカにとっての外交問題の本丸は”イランとアメリカの核協議合意”の問題です。この問題に対しては、どの共和党候補者も強く反対しています。しかも反対表明は、大胆とも言えるオバマ大統領の外交政策全てに及んでいます。「アメリカは外交政策の成果を全く得られていない。特に4人のアメリカ人がイスラム国に人質に取られた事件や、イランに核を与えてしまったことだ。後者については、イスラエルに脅威を与えるだろう」と述べています。
第1回目の共和党討論会は7〜10のフォーマットにより構成されています。下位7候補者は米東部時間の午後5時に演説開始、上位候補者は東部時間夜9時から11時まで演説します。次回の共和党討論会は現地時間9月16日に行われる予定です。ちなみに民主党の次回討論会は11月14日。バーニー・サンダース氏がヒラリー・クリントン氏に挑み続けるか、それともジョー・バイデン氏が参戦して来るか?ドナルド・トランプ氏が自らの支持率を、これからも伸ばすことができるか、それともトランプ氏への熱狂は冷めるのか?
個人的には、カギは”インターネット”にあるような気がします。特に1980年以降に生まれた”Millenials”と呼ばれる人たちは、もはやテレビよりもYouTubeを見ていると言われています。各政党がYouTubeで若い人たちにアピールできるかどうかも、大統領選の結果に大きく影響するのではないでしょうか。
では、また次回お会いしましょう!
ダニエル・ペンソ
米オレゴン州在住の日英翻訳家。1999年〜2009年の約10年間住んでいた東京を”第2の故郷”と呼ぶ。趣味は旅行、語学、食。日本への旅行時には落語を楽しむ。
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*ダニエル氏の意見は、My Eyes Tokyoとは関係ありません。