ハッサン・エルマスリーさん (エジプト)

インタビュー&構成:徳橋功・多田友美
ご意見・ご感想は itokuhashi@myeyestokyo.com までお願いします。

 

Hassan El Masry
アラブ料理@東十条
(2009年より日本在住)

 

いつも冗談を言って生徒さんを笑わせます。だってみんな楽しく料理を学びたいはずだから。

 

外国人のご自宅で各国の家庭料理が学べる”Niki’s Kitchen“と、東京や日本で活躍する外国人とのインタビューを集めたサイト”My Eyes Tokyo”のコラボコーナー 「MET × Niki’s Kitchen」今回で9人目の先生のご紹介です。

エジプト出身のハッサン・エルマスリーさん。ハッサンさんはアラブ料理のシェフとして33年のキャリアを持ち、これまで世界を股にかけて活躍してきました。地理的な要因も手伝って、もしかしたらアラブ料理は日本ではあまり馴染みのない料理の一つかもしれません。シェフハッサンさんが振る舞う魅惑のアラブ料理@Niki’s Kitchenです。

驚くべきことにかつてエジプトではベリーダンサーをしていたこともあるそう!彼のクラスを通して見えた太陽のような陽気さや彼のおもてなしの心は、生まれ持った天性のものなのでしょう。

*インタビュー@東十条北区
*日本語訳:多田友美
*クリック here → Niki’s Kitchenの記事へ
*英語版はこちらから!

 

料理への情熱

現在は主にレストランのコンサルタントをしています。 シェフとしての33年という経験の中で、私はエジプト料理、サウジアラビア料理、トルコ料理、地中海料理など、アラブ料理全般に携わってきました。そのキャリアを生かし、そのレストランをより素晴らしいレストランにするべく私は知恵を絞ります。

人はみんな何かしらの得意分野があります。私の場合は言うまでもなく料理になると思いますが、特に「自分の手でおいしい料理を作ること」これが一番の得意分野です。

みなさんが小さなレストランに入るとき、きっと家庭的で暖かいシェフの、手作りの料理を期待するのではないでしょうか。きっちり手間をかけて作られた料理は、工場で生産された出来あいの物や、冷凍の物とは全然違うに決まっています。また、いくらシェフの手による料理であっても、料理はスパイスや味付けによって作られるのではありません。シェフの料理に対する熱い思いや、おもてなしの心によっておいしく作られていくのです。

 

キッチンの中では「エンターテイナー」

何といっても人を楽しませることが大好き。 信じられないかもしれませんが、実は私、ベリーダンサーをやっていました。私が14歳から22歳くらいまでの頃です。ダンスで人を魅了することもそうですが、きっと根っから人を楽しませることが好きな性分なのでしょう。さらに – 後で詳しく説明しますが – 韓国にいた際にはテレビの料理番組にも出演していたんですよ!

一方キッチンでも,、しょっちゅう冗談を言って笑っています。これこそ私のレッスンのスタイル。どこであろうとどんなクラスであろうと、このスタイルだけは変わりません。

もちろんNiki’s kitchenのクラスでも、 いつも冗談を言って生徒さんを笑わせます。 例えば今日のクラスでは, こんなジョークを言いました。「この木べらね、今日のこのクラスのために昨日買ったばっかりなんです!」実際はもう何年も使っていて、焦げて、擦り減ってとことん使い古されているんですが(笑)

なぜ生徒さんは、クラスに来て料理を学びたいのだと思いますか?私はみんなが新しいことを、楽しみながら学びたいと思っているからだと思います。素晴らしい時間を過ごせると期待してみんなここに来ているんじゃないでしょうか。だって、せっかくお金を払って 時間を割いて、わざわざ私のクラスに来てくれているんですから。料理の仕方なんて、本を買ったりインターネットでレシピを探したりすればいくらだって調べることが出来る。 一番大切なのは、調理の仕方と最高の時間、この両方を生徒さんに提供してあげることです。

「これやって、次はあれやって」と単に言われるのと、冗談を言いながら料理を習うのとでは全然違います。

それから私は、レシピには作り方を書きません。材料のみを書いています。 多分生徒さんそれぞれのやり方でやりたいだろうと思うし、解釈の仕方も人それぞれ違うと思うからです。また、お持ちの調理器具によっても違ってくるでしょう。だからより理解を深めるには、何でも自分で書いた方が良いのです。

33年の経験を通して、私も学びました。楽しく学ぶのが一番。これが私が「エンターテイナー」といわれる所以です。

 
ハッサンさんが笑えば、みんな笑顔になる。
2011年11月27日 

 

一大決心

仕事を変えよう。そう決心したのは、私が22歳の時でした。 以前ベリーダンサーや、ベリーダンサーのトレーナーをしていた時でした。

ある日、レストランシェフをしていた父が私にこう言いました。「 私はもう年だし、体も弱ってきた。 そろそろ誰かにレストランを任せたいんだが、手伝ってくれるか?」この時ダンスをやめてレストランを手伝い、父が亡くなる前にシェフになることを父に約束したのです。

その後シェフとして勉強や修行をするために、 アメリカ、スイス、 ドイツ、 イタリア、韓国へ行きました。そして18年ほど前ですが、私はある大会でイギリスから金メダルをもらったこともあります。私は当時「インターナショナルクッキングチーム・エジプト」のメンバーの一員としてその大会に出場していました。そのチームは5、6人のシェフで構成されていて. 私たちはエジプトを代表するシェフとして様々な国を訪れました。また、シェフ人生のうちのほとんどをエジプト大使館で働いていたということもあり、 私はこれまで世界各国を渡り歩いてきたのです。


すごく大きな ドネルケバブ ですね!
2011年11月27日

 

Niki’s Kitchenとの出会い

最も長く過ごした国は韓国で、12年です。そこで月2回、調理の特別授業を行っている大学でアラブ料理を教えていたことがあります。他にも先ほど少し触れましたが、テレビで15分間生放送の料理番組をやっていたこともありました。その番組には韓国語で出演していたんですよ。私は韓国語が結構しゃべれますし、 私のキャラもみんなに受け入れられ. ちょっとしたお茶の間の人気者でした。

そんな長い韓国滞在中に、私は日本人の女性に出会いました。彼女は私の料理のクラスを受けていたのですが、彼女が私を日本に招き、東京のアラブ料理のレストランを紹介してくれたのです。そしてそのレストランのオーナーは、私をそのレストランに迎え入れてくれ、後にヘッドシェフにまでなることが出来ました。

それとほぼ同じ時期ですが, 彼女はNikiさん(Niki’s Kitchen代表 棚瀬尚子さん)も紹介してくれました。私はたくさんの人がアラブ料理に興味を持ち、学びたがっていると感じたので、Niki’s Kitchenでの料理教室の仕事にもチャレンジすることに決めました。こうしてNiki’s Kitchenでクラスを持つようになり、今では2年が経ちます。

私は料理と教えることが大好きです。教えること、ジョークを言って、みんなで一緒に楽しむこと – これらが私のクラスには不可欠なんです。

  
この日のレシピ!
・チキンシャワルマ/サラダ/ピタ
・本日のスープ
・手作りソース4種(タルタル/タヒーニ/ファラフェル・ホット/チキンシャワルマ)
バスブーサ(エジプトの伝統菓子)
2011年11月27日

 

新天地を求めて

現在(2011年12月までの予定)は東京のアラブ料理レストランでランチメニューの作成を手掛けています。 今回はランチセットに手を加えました。以前は今のような形ではなかったので、今回のこの新しいエジプト料理のレシピを、ここのシェフに教えているところです。

そして私はもうすぐキャリアの拠点を大阪に移します。私はアラブ料理に興味があるところであればどんなレストランでもコンサルタントに協力するつもりです。これからは大阪でビジネスチャンスの機会を探すことになります。

同時に、大阪に拠点を移した後もNiki’s Kitchenで先生を続けることを、主宰の棚瀬さんに約束しました。ですので、これからもたくさんの方々に楽しんでお料理を学んでいただけたらと思います。

 

ハッサンさんにとって、Niki’s Kitchenって何ですか?

最高の時、最高の人生をもたらしてくれるものです。 また、新しい人々に出会う良い機会でもあります。Niki’s Kitchenはみんなをより幸せな気持ちに、そして私の人生をより充実したものにしてくれています。

 

ハッサンさん関連リンク

ハッサンさんのページ@Niki’s Kitchenウェブサイト (日本語):クリック!

 

My Eyes Tokyo

Interviews with international people featured on our radio show on ChuoFM 84.0 & website. Useful information for everyday life in Tokyo. 外国人にとって役立つ情報の提供&外国人とのインタビュー

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