ロサンゼルス大規模火災
By Toastt21 – Own work, CC BY-SA 4.0, Link
ダニエル・ペンソ
コラムニスト/翻訳家
長年住み慣れた家が炎に包まれる瞬間は、計り知れない悲しみを伴います。2025年1月7日から現在に至るまでに、1,900棟もの建物が焼失しました。ロサンゼルス市消防局(LAFD)は1月7日時点で、10,000棟の住宅と13,000棟の建物が火災の脅威にさらされていると発表しています。[1]
これは前例のない規模で進行中の災害です。被害はロサンゼルス市西方のマリブやパシフィック・パリセーズ(23,713エーカー=約96平方キロに影響)をはじめ、同市北方で発生のハースト火災(799エーカー=3.2平方キロ)、同市北東方面で発生のイートン火災(14,117エーカー=約57平方キロ)など、複数の地域に及んでいます。[2]
火災発生から1週間近く経過した現在、パリセーズ火災の鎮火率はわずか14%にとどまり、イートン火災は33%まで鎮火。一方ハースト火災は97%まで鎮火されています。[2]
被災者の多さや被害規模により、地域や州の政治家による火災対策の準備不足や対応の遅れに批判が集中しています。ロサンゼルスのカレン・バス市長は、その1週間前に強風で地域が焦土と化す恐れがあるとの警告を受けていたにもかかわらず、それを無視してガーナへの出張を決めたとの指摘を受けています。また市長が前年度にLAFD予算を約1,700万ドル削減したほか、パシフィック・パリセーズ近郊のサンタイネズ貯水池には水がなく、火災への備えが十分ではありませんでした。[3]
ドナルド・トランプ次期米大統領は、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事を批判し、水資源や森林管理の不備が火災対応の失敗を招いたと指摘しました。一方で左派の多くは、トランプ氏の主張に強く反発しています。[4]
職務怠慢と思われかねない市長の行為に加え、市(LAFD)は被災地以外の数百万人に対し、誤った緊急避難命令を繰り返し発信しました。もしその命令に従った住民が一人でもいたら、間違いなく大混乱が起きていたでしょう。[5]
また強風や乾燥した気候が火災拡大の一因である一方、放火が主な原因と考える人も多く、数人が逮捕されています。[6]
一方で、明るいニュースもあります。ロサンゼルス統合学区(LAUSD)内の多くの学校が、前週の2日間の休校を経て、1月13日(月)に授業を再開しました。また住民の多くは、大気汚染を懸念し、再びマスクを着用して屋内で過ごすことが増えていますが、それでも被災者支援のために衣服や避難所、食料などの寄付活動を行う動きが広がっています。
[1] en.wikipedia.org/wiki/Palisades_Fire_(2025)[2] アプリ「WATCH DUTY」を参考
[3] cbsnews.com/news/la-fires-santa-ynez-reservoir-pacific-palisades-california/
[4] nypost.com/2025/01/12/us-news/gavin-newsom-hits-back-at-donald-trump-over-wildfire-blame-game/
[5] smdp.com/news/government-politics/after-false-alerts-panic-millions-officials-move-to-state-system-for-evacuation-notification/
[6] washingtontimes.com/news/2025/jan/12/arson-arrests-grow-los-angeles-battles-sprawling-b/
米カリフォルニア州在住の日英翻訳家。1999年~2009年の約10年間住んでいた東京を”第2の故郷”と呼ぶ。趣味は旅行、語学、食。日本への旅行時には落語を楽しむ。
*ダニエル氏の詳細は以下のページをご覧下さい。
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*ダニエル氏の意見は、My Eyes Tokyoとは関係ありません。
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